訳注 草案

Chap 1, Security Through Obscurity

不知によるセキュリティ (security through obscurity)」 と呼ばれるセキュリティモデルがある。 このモデルでは、その存在、内容、セキュリティ基準、 その他の情報について単に誰にも知られていない (だろうという) ことを根拠に、 システムが安全であると考える。 このアプローチが長続きすることは少ない。
security through obscurity に対する定着した日本語訳はないように思われる。 obscurity を「無知」と訳すこともあるが、 訳者は「不知」という言葉の方が適していると考え、 本書では「不知によるセキュリティ」という言葉を当てた。 ただし、これが世間一般で広く受け入れられているわけではない。

Chap 4, 伝書鳩について

1999年4月1日発行の RFC 1149 を参照。 伝書鳩による伝送プロトコルについて定義されている。 4月1日に発行された RFC は、大抵は読んでみる価値がある。
RFC 1149 は、仕様策定後10年以上の歳月を経て、2001年4月ついに実装された。 詳しくは、http://www.blug.linux.no/rfc1149/ を参照。

Chap 5, 要塞 - bastion

通常はインターネットに晒されていて攻撃を受けやすいため、高度に保護され た計算機システムであり、内部のネットワークのユーザのための主な接続点と して機能する。中世の城郭の外壁にある強固に防護された突起部 (稜堡) から 命名されている
語源を考えると、bastion を「要塞」と訳すのはあまり適切ではないようにも 思われる。しかし、「要塞ホスト」という呼称すでに定着しているので、本書 でもそれを使用した。

Chap 8, 発信元アドレスによるフィルタの危険性 - Risks of Filtering by Source Address

The man in the middle forgery attack depends on being able to carry out a complete conversation while claiming to be the trusted host.
マン・イン・ザ・ミドル (man in the middle) 偽造攻撃の成功は、 信頼されているホストの振りをしながら、 完全な対話を行うことができるかどうかにかかっている。
「MITM攻撃」「中間者攻撃」「中間介入攻撃」と呼ばれることある。

Chap 8, Testing ipchains rules

ipchains has a very useful feature that allows the kernel-filtering rules to be tested. The ipchains command allows you to specify IP header values to be tested against the currently loaded kernel filtering rules. Using the standard target names, the command prints how the kernel would react if the packet had really been sent to the firewall. At the time of writing, it is not possible to generate and test arbitrary packets.
ipchains では、カーネルフィルタルールをテストするこ とが可能で、これは非常に有用な機能である。ipchains コマンドを 使うと、現在ロードされているカーネルフィルタルールに対して、テストする IP ヘッダの値を与えることができる。このコマンドは、そのパケットが実際に ファイアウォールに送られた時にカーネルがどのように反応するかを標準的なター ゲット名で表示する。本書の執筆時点では、任意のパケットの発生とテストを行 うことはできない
現状を調査。
日本語版出版時点でも、この点に関して大きな進展はない。

Chap 8, ipfilter

ipfilter は、別の種類の Unix 用パケットフィルタシステムである。 これは、フリーな BSD 実装 (FreeBSD、OpenBSD、NetBSD) で開発されたが、 他にも Solaris や SunOS の古いバージョン、IRIX、 Linux 等の Unix オペレーティングシステムに移植され、 動作が確認されている
[脚注形式]
ipfilter は、数多くのオペレーティングシステムに対応し現在も開発は継続 されているが、BSD 系のオペレーティングシステムが標準で採用するパケット フィルタの事情は原書執筆時点から若干様相が変わってきているので簡単に補 足しておく。 NetBSD は、現在も ipfilter を標準的な実装として採用している。 FreeBSD にはipfilter は含まれているものの、あまり積極的にはサポートさ れていない。その代わりに、ipfw という FreeBSD 独自実装のパケットフィル タが主に利用されている。現在は、それをさらに改良した ipfw2 の開発が進 められている。 OpenBSD は、コピーライトの問題から ipfilter の採用を取り止め、pf と呼 ばれる独自実装のパケットフィルタを採用した。 BSD/OS には、やはり ipfw と呼ばれるパケットフィルタが採用されているが、 これは FreeBSD のものとは独立に開発された独自実装のものである。 Sun Microsystems は、SunScreen という名前でパケットフィルタベースのファ イアウォール製品を販売しており、最新の Solaris には、この SunScreen の 機能限定版が標準で搭載されている。
[コラム形式]

BSD 系 Unix のパケットフィルタに関する日本語版補遺

ipfilter は、数多くのオペレーティングシステムに対応し現在も開発は継 続されているが、BSD 系のオペレーティングシステムが標準で採用するパケッ トフィルタの事情は原書執筆時点から若干様相が変わってきているので簡単に 補足しておく。

NetBSD は、現在も ipfilter を標準的な実装として採用している。

FreeBSD には ipfilter は含まれているものの、あまり積極的にはサポー トされていない。その代わりに、ipfw という FreeBSD 独自実装のパケットフィ ルタが主に利用されている。現在は、それをさらに改良した ipfw2 の開発が 進められている。

OpenBSD は、コピーライトの問題から ipfilter の採用を取り止め、pf と 呼ばれる独自実装のパケットフィルタを採用した。これは、非常に先進的なフィ ルタシステムである。

BSD/OS には、やはり ipfw と呼ばれるパケットフィルタが採用されている が、これは FreeBSD のものとは独立に開発された独自実装のものである。

Sun Microsystems は、SunScreen という名前でパケットフィルタベースの ファイアウォール製品を販売しており、最新の Solaris には、この SunScreen の機能限定版が標準で搭載されている。

Chap 8, Linux netfilter

[コラム形式]

Linux のパケットフィルタに関する日本語版補遺

Linuxのパケットフィルタリング機能は、kernel 1.1 の ipfw にはじまり、 kernel 2.0 の ipfwadm、kernel 2.2 の ipchains と進化し、kernel 2.4 で NetFilter が実装された。NetFilter の管理のためには iptables というコマンドが使用されるため iptables という名称で呼ばれることの方が多い。 iptables は IPv6 にも対応し、現在も活発に開発が進められている。

ほとんどのディストリビュータが kernel 2.4 の製品をリリースしている現在、 Linux のパケットフィルタリング機能は iptables を中心としたものに移行しつつある。 現在は、まだ kernel 2.4 で ipchains を使用することも可能だが、 今後はサポート対象から外されることになるため、 ipchains を使用している環境は iptables への移行を迫られることになるだろう。

ipchains で実装されていた機能は、iptables にほぼ受け継がれているので、 若干のインタフェースの違いを意識すれば、 ipchains で利用していたチェーンの構造を流用することが可能である。 したがって、コマンドオプション等の細かい違いを除き、 本書の ipchains に関する解説は iptables にも当てはめることができる。

ただし、ipchains と iptables では、 転送されるパケットの取り扱い方が変更されている点に注意が必要だ。 ipchains では、転送されるべきパケットは入力・転送・出力という 3つのチェーンをすべて通過したが、 iptables では転送チェーンだけを通過するようになった。 その代わりに、転送チェーンの前後に NAT 処理のための PREROUTING と POSTROUTING という2つの新しいチェーンが追加されている。

Chap 8, Windows NT Packet Filtering

Ironically, the most powerful packet filtering package that Microsoft makes available for Windows NT is actually part of Microsoft's Proxy Server. While it still does not provide all of the features that a packet filtering router would provide, it does include alerting and logging options, specification of port ranges, and filtering of fragments. As of this writing, a new version of Proxy Server is due out shortly, and it is expected to have still more packet filtering features.
皮肉なことに、Microsoft が Windows NT 用に提供している最も強力なパケッ トフィルタパッケージは、実際には Microsoft Proxy Server の一部として提 供されている。これもまたパケットフィルタリングルータが提供するすべての 機能は提供しないが、警告と記録のオプション、ポートの範囲の指定、フラグ メントのフィルタ機能が含まれている。 本書の執筆時点では、近々新しいバージョンの Proxy Server が登場し、より 多くのパケットフィルタ機能を持つことが予想されている
現状を調査。
2000年に Microsoft Proxy Server 2.0 が発表され、 その後 Windows 2000 用の Microsoft Internet Security & Accelaration Server へと発展している。

Chap 8, Windows NT Packet Filtering

For example, you want to receive mail from the Internet, and whether that's managed by packets or by Murphy's ghost is irrelevant to you.
たとえば、あなたはインターネットからの メールを受け取りたいだけであって、それがパケットで送られて来ようと、マー フィーの幽霊 が運んで来ようとどちらでも構わないのである。
Murphy's ghost ―― 1981年に発売された WIZARDRY というゲームに出て来るキャラクタの名前。 ちなみに、これはマーフィーの法則とは関係なく、 作者の友人の名前に由来しているそうである。

Chap 8, Windows NT Packet Filtering

The "IP protocol" entries do not control UDP and TCP; if you wish to deny UDP and TCP, you must set the TCP and UDP entries to allow only specified ports and then avoid specifying any ports.
「IP プロトコル」の項目では UDP や TCP を制御できない。UDP や TCP を全部禁止したければ、TCP と UDP に関する「一部許可する」項目を設定し、 それから許可のポート指定をすべて削除する必要がある
ここでポートと呼んでいるのは、実際にはプロトコル番号のことである。 著者に確認したところ、技術的には確かにその通りだが、 製品が使っている呼称に準じているということである。

ch.16, TLS/SSL, SSMTP, and STARTTLS

Several methods have been proposed, including using a separate TCP port for a new SSMTP protocol. Although a port has been reserved for use by SSMTP, very few mail servers support it, and it is not a standard.
いくつもの方式が提案され、その中には新しい TCP ポートで SSMTP という新しいプロトコルを利用する方式も含まれている。 SSMTP のためのポートは確保されてはいるが、 それをサポートするメールサーバはごくわずかしかなく、 標準化もされていない
SSMTP のためのポートは正式には確保されていない。 一部の資料やオペレーティングシステム付属のファイルには、 ポート465番がその目的で使えるように記述されているが、 実際にはこの番号は別のサービスに割り当てられている。

Chap 16, TLS/SSL, SSMTP, and STARTTLS

STARTTLS is supported by some current mail servers, but not many.
現状では、いくつかのメールサーバが STARTTLS をサポートしているが、 その数は決して多くない

現在のサポート状況について補足。

案:
SMTP の STARTTLS は RFC 2487 で標準化されており、 sendmail や postfix などの主要なサーバと、 いくつかのクライアントで実装されている.

結局、状況は変わっているのか? いないのか?

SMTP の STARTTLS は RFC 2487 で標準化され、 最新の仕様は RFC 3207 で定義されている。 現在はサーバ、クライアントともに多くの実装が存在する。

Chap 16,

この代用 SMTP サーバを使用すれば、攻撃者が Sendmail やその他 の複雑な SMTP サーバに直接 SMTP で接続を行うことは決してできなくなる。 このようなシステムでは、データの内容に由来するセキュリティホールを塞ぐ ことはできないが、この種のセキュリティホールはどんなファイアウォールで あっても防御が極めて困難である。とはいえ、Sendmail にデータに由来する のセキュリティホールが見つかるのは幸いにも非常に稀で、実際、現在までに たった1つの実例しか存在しない

今でも新しい問題は発見されていないかを確認。

特に状況に変化はないらしく、 わざわざないことを補足する程でもないので訳注は不要。

Chap 16, biff 脚注

"Biff" is not an acronym; it is the name of the original programmer's dog, which used to bark at the mailman.
"Biff" は略語ではなく、これを最初に作ったプログラマの飼っていた犬の名 前である。この犬は郵便配達人に吠えたてる癖があった

Biff は、作者の飼い犬ではなかったような気がする。 確認して補足を脚注に入れる。

Biff という名前の犬に因んでつけられたのは本当だが、 それは作者が飼っていた犬ではないし、 郵便配達に吠えたというのも後からつくられた伝説であるらしい。 「UNIX の 1/4 世紀」(ASCII刊 ISBN4-7561-3659-1) 182ページで詳しく解説されている。

ch.16, POP

There is also a standard in progress that extends the POP protocol to allow clients and servers to negotiate the use of TLS on a normal POP connection. This is the preferred method for providing encryption for services, since it doesn't require a new port, and the supply of port numbers is limited. Unfortunately, the standard is not yet complete and support for it is not widespread.
また POP プロトコルを拡張して、クライアントとサーバが通常の POP 接続上で TLS の使用を交渉できるようにしようと標準化の作業が進めら れている。ポート番号には限りがあるが、この方法なら新規のポートが必要な いので、サービスに暗号化を提供する方式としてはこの方が好ましい。残念な がら、標準化作業はまだ完了しておらず、この拡張のサポートは普及していな い
訳注: 現在の標準化状況について調査
POP3 プロトコルの暗号化で使用される STARTTLS は、RFC 2595 として標準化 され、qpopper をはじめとする広く使われている POP サーバや、いくつかの POP クライアントで実装されている。

ch.16, IMAP

Similarly, an Internet standard is evolving that will allow IMAP to use TLS to support the encryption of messages as they pass between the server and client, but currently few servers and clients support this option. There is also an assigned port for IMAP over SSL, which is supported by a slightly larger number of clients and servers.
IMAP で TLS を使用できるようにして、サーバとクライアントの間で交わされ るメッセージの暗号化をサポートしようというインターネット標準の策定作業 が進められているが、これも同様に、この機能をサポートしているサーバやク ライアントは現在のところほとんど存在しない
現在の標準化状況について調査
IMAP プロトコルの暗号化で使用される STARTTLS は、RFC 2595 として標準化 され、Cyrus IMAPD や Courier IMAPD などの広く使われている IMAP サーバ で実装され、サポートするクライアントも複数存在する。

Chap 17, NFS クライアントの弱点

NFS clients may also be vulnerable to less obvious forms of attack from NFS servers. Mounting a filesystem is a privileged operation, so NFS clients run as root. A hostile server may be able to exploit buffer overflow errors in the NFS client, causing it to run arbitrary programs. In general, this is not transparent to the user (it interferes with the ability to use whatever filesystem the client was trying to get to), and it requires an attacker with a high level of control over the server machine. In traditional fixed NFS server environments, it's not a major threat. On the other hand, the use of automounters, which are discussed in a later section, can make it an effective attack.
また NFS クライアントは、 NFS サーバからのより複雑な攻撃に対しても無防備であることがある。 ファイルシステムをマウントすることは特権が必要な操作であるから、 NFS クライアントは root として動作している。 悪意あるサーバが、NFS クライアントのバッファオーバーフローエラーを悪用して、 任意のプログラムを実行させられるかもしれない。 このような場合、普通はユーザも気づくだろうし (クライアントがファイルシステムにアクセスする能力を阻害する)、 攻撃者にはサーバ機の高度な制御が要求される。 伝統的な固定 NFS サーバ環境では、あまり大きな脅威ではない。 だが、後の節で述べるオートマウントを利用していると、 これが効果的な攻撃になりうる。
一般的な NFS クライアントは機能はカーネル内で実行されるため、 root として動作するという表現は適当ではない。 mount コマンドのことを言っているのであれば、 確かに root 権限で動作しているはずだ。

Chap 17, オートマウント

Originally, NFS filesystems were mounted by machines at boot time, which has some significant disadvantages. It means that at boot time, a machine has to decide what server it's going to get particular files from, and the only way to change that decision is to reboot. It also has to mount all the filesystems it might ever need. On a multi-user system, where different users want different files, this results in a lot of wasted communication as machines mount filesystems that they don't actually need. It can also result in major annoyances as machines wait around for crashed file servers, sometimes pointlessly.
元々は NFS ファイルシステムは計算機の起動時にマウントされていたが、 これには重大な欠点がある。 つまり、計算機は起動時に、 どのファイルをどのサーバから取得するかを判断しなければならず、 その判断を変更するには再起動するしかない。 また、後に必要になるファイルシステムをすべてマウントしなければならない。 マルチユーザシステムではユーザごとに必要なファイルが異なり、 したがって計算機が実際には必要でないファイルシステムをマウントするので、 結果として無駄な通信が大量に発生する。 さらには、クラッシュしたファイルサーバを、 時々意味もなく待つという大きな頭痛の種を産み出すこともある。
初期の NFS システムであってもマニュアルでマウントすることはできたので、 マウントするために必ずしも再起動が必要なわけではない。

Chap 17, その他の印刷システム

The IETF is working on a protocol called the Internet Printing Protocol (IPP), which is designed to be used across the Internet.
IETF は IPP (Internet Printing Protocol) というプロトコルの策定作業を進めている
IPP は RFC 2910, 2911 で標準化されている。

Chap 18, SSH

This protocol (at the time of writing) is not yet an IETF standard, and hence, SSH version 2 is still a work in progress. SSH version 2 is also in the process of becoming an IETF standard.
本書の執筆時点では、このプロトコルはまだ IETF 標 準になっておらず、したがって SSH バージョン2はまだ未完成と言える。SSH バー ジョン2を IETF 標準にするための作業が進行中である
現在の標準化の状況について解説。
日本語版出版時点でも、標準化はまだ終了していない。

Chap 18, Terminal Access (Telnet)

Telnet allows a user to remotely access a command shell on another computer. Telnet is supported by most platforms on the Internet, including not only Unix and Windows NT, but even some MS-DOS and Microsoft Windows systems (which provide access to a DOS shell via a Telnet server). The major exception is the Macintosh operating system, which doesn't have a command line-oriented shell to give users access to, regardless of whether or not they're local (unless you install the Unix-style development environment, which gives you both the shell and the Telnet server).
telnet を使うと、遠隔地から他の計算機上のコマンドシェ ルにアクセスできる。telnet は インターネット上のほとんどのプラットフォーム に実装されており、Unix や Windows NT だけでなく、MS-DOS や Microsoft Windows システムにさえもサポートしているものがある (この場合、 telnet サーバ経由で DOS シェルにアクセスできる)。Macintosh オペレーティン グシステムは大きな例外で、ローカルであるか否かに関わらず、ユーザからアクセ スできるコマンド行指向のシェルはない (ただし、シェルと telnet サーバの両方 を持った Unix 風の開発環境をインストールした場合はこの限りではない)

Mac OS X では、telnet によるオペレーティングシステムへのアクセスがサポートされた。 ただし バージョン 10.2 での標準的なリモートアクセス方法は telnet ではなくssh である。

Chap 18, ICA

以前のアメリカの輸出規制のせいで、 アメリカ国外用のバージョンは、 これよりも弱い40ビットの鍵をデータストリームに用いている。 アメリカ国内バージョンでは、データストリームに40ビット、56ビット、 128ビットの暗号化を使用できる (アメリカの輸出規制の緩和により、 将来のバージョンではおそらくこの区別はなくなるだろう )。
現在の暗号強度について解説。
現在では、日本国内でも 56ビットや 128ビットの鍵による RC5 暗号を サポートしたバージョンが販売されている。

Chap 19, Internet Relay Chat (IRC)

多くの IRC クライアントが、Direct Client Connections (DCC) という機能をサポートしている。 DCC を使うと、2台の IRC クライアントが相談して直接 TCP で接続する。 最初の相談の時を除いてサーバとの通信を行う必要はない。 ほとんどの IRC サーバは、Auth プロトコルを使って ユーザの情報を取得しようとする。 Auth が成功しなければ接続を受け付けない IRC サーバもある。 Auth の詳細は Chapter 21 Authentication and Auditing Services に述べられている。
Auth プロトコルは Ident プロトコルと呼ばれる方が一般的である。

Chap 20, Malicious DNS queries

There are known problems with versions of BIND 4 prior to 4.9.7 and BIND 8 prior to 8.1.2 (note that this does not guarantee that later versions don't also have problems that haven't been found yet).
バージョン 4.9.7 より 古い BIND 4 と、バージョン 8.1.2 より古い BIND 8 には問題があることが知ら れている (これは決して、それ以降のバージョンに未発見の問題がないことを保証 しているわけではない)

日本語版出版時点では BIND の開発の主流はバージョン 9 に移っている。 それぞれのバージョンの最新リリースは 9.2.1、8.3.4、4.9.11 である。 バージョン4の使用は推奨されていない。

Chap 20, Windows 2000 and DNS

In particular, Windows 2000 consistently uses names that contain underscores. Traditionally, DNS names have been allowed to contain only letters, numbers, or hyphens (-). The underscore ( _ ) has been forbidden by the standard. In practice, most name servers did not enforce these name restrictions. Although the underscore has been theoretically forbidden for many years, name servers that do not allow underscores became popular fairly late in the development of Windows 2000. At about the same time, a push to loosen the restrictions on allowable names began. This situation has not been resolved as of this writing; a standard under discussion would allow almost any character in a DNS name, but it has not yet been accepted. In the meantime, some servers enforce strict name rules and reject names with underscores; some servers follow tradition and accept almost any ASCII character; and some servers accept even more characters, including those outside the ASCII range (for instance, accented letters). Windows 2000 minimally requires a DNS server that will allow underscores. Windows 2000 allows machine names that use other characters outside the normally permitted types, and those names may create mysterious failures unless you use a DNS server that accepts them.
特に、Windows 2000 は首尾一貫してアンダースコア (_) を含む名前を 使用している。元々は、DNS 名にはアルファベット、数字、およびハイフン (-) だけが使用を許されてきた。標準ではアンダースコア (_) が禁止されているが、 現実には、こうした名前の制限を強制しないネームサーバがほとんどだった。理屈 では何年もの間、アンダースコアの使用が禁止されてきたわけだが、実際にアンダー スコアを認めないネームサーバが普及し始めたのは、Windows 2000 の開発がもう 終わるという頃だった。それとほぼ同時期に、使用できる名前の制限を緩めようと いう動きが出始めた。本書の執筆時点では、この結論はまだ出ていない。 検討中の標準は DNS 名にほぼすべての文字を認めるものなのだが、まだ一般に認 められていない。今のところは、厳格な名前規則を強制してアンダースコアを含む 名前を受け付けないサーバもあり、伝統に則ってほぼすべての ASCII 文字を受け 付けるサーバもあり、もっと多く、ASCII の範囲外の文字 (たとえばアクセント付 きの文字) も受け付けるサーバもある。Windows 2000 では、少なくともアンダー スコアを認める DNS サーバが必要である。Windows 2000 は通常は許可されていな い種類の文字を使った機器名を許しているため、こうした名前を受け付けない DNS サーバを使用していると不可解な不具合に見舞われることがある。
アンダースコアの取り扱いに関する現状について。

日本語版出版時点でも、状況は大きく変わっていない。

Chap 20, Windows 2000 and DNS

Windows 2000 also uses a record type, the SRV record, which has not yet been standardized. A number of DNS servers support SRV, including versions of BIND starting with 4.9.6 (and all versions of BIND 8).
また、Windows 2000 は SRV レコードというレコードタイプを使用する が、これはまだ標準化されてないレコードタイプである。 もっとも、多くの DNS サーバが SRV をサポートしており、BIND のバージョ ン 4.9.6 以降 (および BIND 8 の全バージョン) ではサポートされている。
SRV レコードについて解説。

SRV レコードは RFC 2782 として標準化された。

Chap 20, whois

whois is another information-lookup protocol, much like finger. It is commonly used to obtain public information about hosts, networks, domains, and the people who manage them from various Network Information Centers (NICs), such as whois.internic.net. Sites generally don't provide their own whois server; they merely access the whois servers at the NICs. People don't expect other sites to run whois servers. whois clients are available for almost every platform and are sometimes embedded into other tools.
whoisfinger とよく似た、もう1つの情報検索プロト コルである。これは、ホスト、ネットワーク、ドメイン、そしてそれを管理してい る人々の公開情報を、whois.internic.net のような様々な Network Information Center (NIC) から取得するためによく使われる。 一般的にサイトが 独自の whois サーバを提供するわけではなく、単に NIC にある whois サーバにアクセスするだけである。それ以外のサイトが whois サーバを動作させることは期待されていない。ほとんどすべて のプラットホームにも whois クライアントがあり、他のツールの機能 の一部として組み込まれていることもある。

JPNIC について

jp ドメインの whois サーバは whois.nic.ad.jp。

Chap 21, Kerberos requirements

Kerberos uses slightly different terminology from most authentication systems. The area of authority of a Kerberos installation is called a realm. A realm is equivalent to a Windows NT or NIS domain, and in fact Windows 2000 uses domain instead of realm. All versions of Kerberos refer to the parties involved in a transaction as principals. A principal is an entity that needs to be authenticated. In most cases, a transaction involves a user talking to a server (for instance, somebody trying to pick up mail with POP), and therefore principals are normally users and services. In some cases, something else may need to be authenticated. For instance, the principals in the transaction when a machine transfers files for diskless booting are a host and a server instead of a user and a server.
Kerberos では、他の多くの認証システムと少々異なる用語を使用する。 Kerberos の設備の権限が及ぶ範囲を realm と呼ぶ。realm は Windows NT や NIS のドメイン に相当し、実際 Windows 2000 では realm の代わりにドメインという 用語を使っている。どのバージョンの Kerberos も、処理に関わる当事者を principal と呼ぶ。principal は認証を必要とする存在のことである。 ほとんどの処理は、サーバとそこに通信しようとするユーザ (たとえば POP でメー ルを取り出そうとしている人) で構成され、このような場合には principal はユー ザとサービスである。状況によっては、認証の主体が別のものになることもある。 たとえば、計算機がディスクレス起動のためにファイルを転送しようとしている時 には、処理の principal は、ユーザとサーバではなく、ホストとサーバである。
「レルム」と発音する。領域の意。

App A, Internet Firewalls Frequently Asked Questions (FAQ).

It is updated and posted to the Firewalls mailing list (firewalls@greatcircle.com) on a regular basis.
定期的に Firewalls メーリングリスト (firewalls@greatcircle.com) に更新されたものが投稿される
現状を調査して補足。今でも続いているとは思えない。
2000年12月を最後に更新は止まっている。 最終版は http://www.interhack.net/pubs/fwfaq/ で見ることができる。 Firewalls メーリングリストは、現在 firewalls@isc.org で続いている。

Chap 21, The TIS FWTK Authentication Server

TIS FWTK に付属する認証サーバは、インターネットから入ってくるユー ザを認証する際のモジュール方式の解決策である。サーバは様々な認証方式を実装 しており、標準的な再利用可能パスワード (推奨しない) や、S/Key、Security Dynamics 社の SecurID カード、 そして Digital Pathways 社の SNK-004 カード※※ などをサポートしている。さらに、サーバはモジュール方式で拡張性があり、新し い認証方式を容易に組み込めるように設計されている。

Security Dynamics と Digital Pathways の現状について補足。

Security Dynamics -> RSA Security
Digital Pathways -> AssureNet Pathways -> AXENT Technologies, Inc -> Symantec?

のような感じだったか?

Security Dynamics Technologies, Inc. は、 現在 RSA Security, Inc. と社名変更している。

※※ Digital Pathways, Inc. は AssureNet Pathways と社名変更した後、 AXENT から Symantec へと移り、現在は PassGo Technlogies, Inc. から Defender という商品名で提供されている。

Chap 21, Auth and identd

Auth is a protocol used to identify a remote user that generated a connection. The protocol is also sometimes referred to as identd, which is the name of a popular Unix daemon that implements it.
Auth プロトコルは、 接続を開始したリモートユーザの身元を確認するために使用される。このプロトコ ルは identd と呼ばれることも多いが、identd はこのプ ロトコルを実装した有名な Unix 用デーモンの名前である
これは RFC 1413 で定義されている Identification Protocol のことで、 一般には Ident プロトコルと呼ばれることが多い。 RFC 931 には Authentication Server Protocol と記述されていたので、 古くは Auth プロトコルとも呼ばれていたが、 この名称は現在は推奨されていない。 原著者がなぜ auth という名前を好むのかは不明だが、 オペレーティングシステム付属のファイルや IANA の資料にまだ古い名称が 含まれているためではないかと思われる。 プロトコル自体を identd と名称で呼ぶのは聞いたことがない。

Chap 23, Databases and Games

SQL*Net は Oracle による Oracle7 用 SQL ネットワークインタフェースで、 その Oracle8 用の後継が Net8 である
現在日本国内で販売されている製品は Oracle9i Database R2 である。 詳しい仕様については製品資料や Oracle 社のウェブサイトを参照していただきたい。
この本に書かれている Oracle に関する記述はかなり批判的だし、 内容もかなり古いので日本オラクルに補足説明を頼んだんですが、 出て来たのが製品名と情報へのURLだけだったので、このような表現になりました。 最新版でどのように改善されているのかを コラムとして紹介したいと思ったんですけどね。 具体的じゃなくても、 せめて『これより大幅に改善されている』とか言ってくれればその通り書くのに…

Appendix A, 原p.798 info.cert.org

ftp://info.cert.org/ 
このサイトには、CERT-CC (Computer Emergency Response Team Coordination Center) が過去に出した勧告 (この付録の後方 にある「組織」の CERT-CC の項を参照) がすべて収められている他、小規模 なツールや文書も集められている。
現在 CERT/CC のドキュメントはウェブ形式のみで配布されている。

Appendix A, 原p.802 FIRST

FIRST (Forum of Incident Response and Security Teams) は、政 府、企業、および教育機関からの、多様な計算機セキュリティインシデント対 応組織の集まりである。FIRST は、インシデントへの迅速な対応と、メンバー やコミュニティ全体での情報共有を促進するために、インシデント防止にあたっ て協力と調和を育むことを目指している。現在、FIRST には、70近い会員数が 登録されている
2002年12月現在では130組織。 日本の組織としては、 JPCERT/CC (コンピュータ緊急対応センター) と IIJ-SECT (IIJ Group Security Coordination Team) の2つが参加している。

Appendix A, 原p.810 Firewall FAQ

定期的に Firewalls メーリングリストに更新されたものが投稿される
2000年12月を最後に更新は止まっている。 最新版は http://www.interhack.net/pubs/fwfaq で見ることができる。

Appendix B

この付録では、ファイアウォールの構築や保守に役立つ、 インターネット上で入手可能ないくつかのツールやパッケージについて解説する
原書が発行されてから期間が経っているので、 移動したり消滅してしまったサイトの情報も含まれていたため、 できるかぎり現時点で最適と思われる内容に変更してある。 また、適宜日本向けの情報についても追加した。

Appendix B, 原p.818 AFS

http://www.transarc.ibm.com/
http://www.openafs.org/ 
AFS はカーネギーメロン大学で開発され、 1980年に Transarc Corporation として独立した。 Transarc は 1994年に IBM に買収され、 引続き IBM Transarc Lab (現 Pittsburgh Lab) で開発されてきたが、 2000年に AFS はオープンソース化されている。

Appendix B, 原p.821 NOCOL

NOCOL は、Unix システム上で動作する、システムやネットワークを 監視するパッケージで、多様な方式で様々な種類のデバイスをポーリングでき る。syslog 情報や SNMP データを使用したり、ICMP を使って機 器の動作状況を調べたりすることができる。新しい監視方式の追加も簡単で、 そのための C と perl の API が用意されている
現在は SNIPS という名前で開発が継続されている。

Appendix C, RSA

RSA は1978年に Ronald Rivest、Adi Shamir、Leonard Adleman らによって開発された。 数学的に言えば、理解のしやすさの点でも、実装の容易さからも、 ほぼ間違いなく最も単純な公開鍵アルゴリズムである。 RSA アルゴリズムの強度は、巨大な数の因数分解が困難であるということに基 づいている。 RSA アルゴリズムは特許を取得済みであるが、 このアルゴリズムを保護すると考えられている最後の特許が 2000年の9月20日で期限切れとなる
この特許は実際に切れたが、 RSA 社はそれ以前に RSA アルゴリズムを自由に利用できるようにした。

Appendix C, The Data Encryption Standard (DES) and Triple DES

Triple DES (3DES) は、 DES の処理を2つの鍵を使って3繰り返して適用する方法であり、 鍵の大きさは112ビットになる。 鍵の長さが増すことで、3DES は通常の DES よりも安全だと信じられている。 3DES の処理には DES の3倍の時間がかかる。
この他に3つの鍵を使って3回繰り返す方法もあり、 この場合鍵の長さは168ビットになる。

Appendix C, AES

AES (Advanced Encryption Standard) は米国の NIST によって策定されている 「21世紀の暗号アルゴリズム」である。 AES は米国政府標準として DES を置き換えることを目的としている。 DES にまつわる様々な問題があったことから、 NIST はこの標準の開発の過程を公開し、 米国国外で設計されたアルゴリズムも候補とすることを決定した。 本書の執筆時点では、標準はまだ決定されていず、 Mars、RC6、Rijndael、 Serpent、Twofish という5つの最終候補に絞られている
2000年10月に、最終的に Rijndael が採用された。

Appendix C, Evaluating Other Algorithms

Evaluating the strength of a cryptographic algorithm can be extremely difficult. It's not unusual for people to find problems with algorithms that have been examined before by multiple professional cryptographers. However, this sort of analysis is needed only for new cryptographic algorithms. In general, a reasonably educated and suspicious person can do an adequate job of figuring out whether a cryptographic product is appropriately secure without delving into any of the details of the algorithms involved. A good resource is the "Snake Oil FAQ", published regularly on the sci.crypt newsgroup.
暗号アルゴリズムの強度を評価することは、非常に困難な場合がある。 複数の暗号専門家によっ て精査されたアルゴリズムに、問題が発見されるのは珍しいことではない。し かし、この種の分析は新しい暗号アルゴリズムが考案された時にだけ行われる。 一般に、ある程度の教養と懐疑心を持ち合わせた人であれば、ある暗号プロダ クトが十分な安全性を持っているかどうかは、そのアルゴリズムの詳細にまで 立ち入らずとも判断できるものである。sci.crypt ニュースグルー プに定期的に投稿される "Snake Oil FAQ" が、有用な情報源として役立つだ ろう

sci.crypt というグループはあるのか。 あるとして、Snake Oil FAQ というのは、まだ続いているのか。

1998年4月を最後に更新は止まっている。 最終版は http://www.interhack.net/people/cmcurtin/snake-oil-faq.html で参照することができる。